おれは正当な読者〜『カグラバチ』第17話感想〜

ネタバレ全開なので注意。 六平国重の厄介オタクとして一部で人気だった双城厳一。彼と、国重の息子チヒロの決着が、17話「茶」で描かれた。 カッコイイバトルもさることながら、サブタイトル通り謎の精神茶室空間でのスイーツトークが異様に印象に残り、そ…

若気の至り、大人の覚悟〜『逃げ上手の若君』第129話「斯波家長1337」

神回感想シリーズ。ネタバレ全開なので単行本派は自衛よろしゅう。

守られる心、救われぬ現実~『平和の国の島崎へ』#08「DEAR SHIMAZAKI AND HIS PORTFOLIO」

平和の国の島崎へ - 濱田轟天/瀬下猛 / #08 DEAR SHIMAZAKI AND HIS PORTFOLIO | コミックDAYS 初回から興味深く読んでいた『平和の国の島崎へ』だが、最新話があまりに神回だったので記す。 『平和の国の島崎へ』について 平和の国の島崎へ - 濱田轟天/…

人間否定、からの解放~『チェンソーマン』第102話

[第102話]チェンソーマン 第二部 - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+ チェンソーマン102話がすごくすごくすごかった。読んだ直後に3時間近くSkypeしてしまった。ので、感想をしたためる。 『チェンソーマン』、『さよなら絵梨』、『ルックバック』のネタバレを含…

なろう評論会「温泉卵作品について」

『我にチートを』人妻?未亡人?愛人? もりやん 『我にチートを』1日で読み終えて『俺のロボ』をもりもり読んでますよ。 singingroot いやあれ結構分量あったような……? まあ月イチ更新なのでめっちゃ進行遅いですが。 もりやん 結構時間取られましたねw …

なろう評論会第1回『異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに』

前置きの前置き~なろう評論会について 対談本文中でも言及していますが、これは「小説家になろう」の作品について、管を巻いたり性癖を告白したり横断的に論じていこうという企画です。 現在はたまたま釣れたのでsingingrootさんにお相手いただいていますが…

はてダが終わるので公開しました

実はデータ移行だけは数年前に終わっていた✌('ω')✌

『恋愛ゲーム総合論集2』寄稿原稿公開について

冬コミ(C81)新刊『恋愛ゲーム総合論集2』(特集:Rewrite)目次と内容のご紹介 - then-d’s theoria blog ver. 在庫僅少につき各寄稿者による原稿公開の呼びかけがあり、1年越しになりましたがここに公開します。 主催の故・then-d氏には随分と無茶な原稿も受…

三宅章介を深ーく考えるってことはよォーーー、『幸せにエロゲーしているか?』どーかにつながるからよー、とっても大切なことだと思うわけよ(『恋愛ゲームシナリオライタ論集 +10人×10説』収録)

1.ロッテリアにて 値上がりした煙草(*1)を吹かし、日本シリーズ優勝セール(*2)で半額になったジンジャエールを飲みながらこの原稿を書いている。 これが書き出しなのだ。一行目なのだ。色々と察せられるものと思う。C79は12月だ。来年の夏ではない。 つ…

片岡とも――私的体験としての(『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人30説+』収録)

1.片岡ともという時代 私は片岡ともの熱烈なファン――でした。そう、過去形で表現すべきでしょう。 私がプレイした彼の作品は半数以下、『銀色』から『ラムネ』までのものだけですから、これでファンを名乗り続けるのもおこがましい。しかし、それでもなお私…

『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人30説+』および『恋愛ゲームシナリオライタ論集 +10人×10説』寄稿原稿公開について

サークル「theoria」より発行の上記同人誌について、主催のthen-d氏より、完売を受けてのweb公開の要望を受けた。 ので公開します。 『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人×30説+』掲載原稿リンク集(http://d.hatena.ne.jp/then-d/20120618/1340112564) 『…

『花咲くいろは』第1話にまつわる公開質問状

id:matunamiにすすめられて、『花咲くいろは』第1話を観た。 本作の出来は、非常に良いといえる。作画・演出・脚本・企画の全てを含めて、すぐれてハイエンドな作品である。 ただし、現時点で、批評的見地からは疑問なしとしない。 ここでは、肯定派であるだ…

大高忍『マギ』第74夜「崇高な何か」が傑作すぎる件:イノセンスと代償行為

今週の『マギ』があまりにも素晴らしかったので布教エントリをしたためんとする。単行本派は回れ右推奨。 さて、アリババが「王」になったりアラジンが覚醒したりマギバトルが始まったりカシムが異形化したりとこのところ急展開だった本作。無駄に上の方にネ…

俺が書こうとしているのはジョナサンとDIO子のラヴストーリーであるらしい。

DIOはジョナサンにとっての「運命」であり「試練」である。DIOは常にジョナサンを試す。ジョナサンは、DIOという「運命」がもたらす「試練」を乗り越えることによって成長してゆく。ある意味では、DIOはジョナサンのために存在している。 逆に、ジョナサンも…

『僕は友達が少ない』にはヒル魔が足りない

タイトルは『ぼくたちには野菜が足りない』パロになってしまった。 相変わらず続きを読まないまま自分のはがない感想を読み返して、はがないに何が足りないかわかった気がした。ヒル魔だ。 物語には、特定の「人格パターン」をテーマとして展開する類型があ…

声に出して読みたいアイマスソング「shiny smile」を再評価してみよう

このところ、supercellや飛蘭曲のカッ飛んだリリックを見るにつけ、「センス」とか「題材」以前の「スキル」としての作詞について検討したいと思っていたのだ。例えば大半がアレなアイマス曲リリックの中で「shiny smile」が光る理由とか。 「shiny smile」…

エロゲーマーたちによるスパ4対戦会生放送に、なぜか実況?を付けてました。

富士見書房|棺姫のチャイカ 装甲悪鬼でのパフォーマンスにも感嘆したけど、現在のなまにっくぁん(ウロブっつぁんに準ずる愛称)は参加したら「なまにく作品」と呼びうるような華があるよな。 でも、チャイカのデザインは、明らかにニトロじゃなくライアー…

水無月・アドルフ・ルックナーと因果悟が可愛い

シュピーゲルシリーズで可愛いのはなんつっても水無月。『救命戦士ナノセイバー』の因果悟をほんのり思い出す。盗聴はできても話しかけることはできない弱さ。「彼女」と自分は生きる世界が違うと諦めてる感じ。そして弱い人なりの生き方を確立してるせいで…

映画『マルドゥック・スクランブル』観てきた。 めぐさんは無い。

過去の『ToHeart2 XRATED』姫百合姉妹シナリオ言及まとめ

ToHeart2 X-RATED:姫百合姉妹 (2006/6/3初出) ネットが繋がらない間エロゲがそれはそれははかどってあちこち手を出して、すでに真っ先に取り掛かったロストチャイルドの印象がぶっ飛んでるくらいなんだけど、その機会にTH2もとうとうプレイした。予想より…

『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』を脱稿しました。

『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』CM79発行予定 - then-d’s theoria blog ver. 三宅章介を担当してます。『+30人×30説』に引き続いての登板ですが、今回はイラストがもらえるらしい! いやー、挿絵付けてもらうのひさしぶりだなー! 今回も、…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない7』雑感

今思えば、ポイントオブノーリターンは衝撃のメルル弁当(5巻)だったな。愛が……重い。ゼロ魔並に恐ろしいラノベになっている俺妹。 この世の中で真に恐怖すべきラノベはゼロ魔しかなかった*1のだが、そこに俺妹も加わることになったようだな……。 男殺しと女…

『とらドラ!』っつうのは恐ろしく単純な話で、アレがなんかややこしく見えるとすれば、それはみのりんがヘンなせいだといっていい。 そういう意味では、とらドラのとらドラたるゆえんは、虎でもドラでもなくみのりんにある。あーみんもとらドラを象徴するキ…

超能力とは「クニ」である。

禁書にいわゆる魔術結社の人はあんまし出てこない、という忘れられがちな事実。出てきてもチョイ役。 魔術を含めた超自然的なパワーはしばしば権力のメタファであるのだが、いかなるレイヤの権力に比喩するからによって物語性は異なってくる。きのこ(伝奇)…

スパ4と百花繚乱で今墨がアツい。 今期アニメ、選ぶとすれば百花繚乱ですネ。ヘイユー、毎度スタッフの苦悩とヤケッパチが横溢するアニメを見て楽しいかい。 あえていえばギモ゛ヂイ゛イ゛。 あと、俺と友人の間では、七咲編の急降下っぷりへのがっかり感か…

ところで現在『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は第三部に突入しております。第一部「桐乃編」(1-2巻)/第二部「黒猫編」(3-5巻)/第三部「京介編」(6巻) 3巻と5巻は微妙に一部-二部、二部-三部の過渡期な感じ。

『AKB49』が面白い:非実在美少女

浦川みのりは非実在美少女である。 実在美少女であるユキ(『ゆびさきミルクティー』)との違い。 準にゃん(『はぴねす!』)にしてもユキにしても、あるいは絆(『プラナス・ガール』)にしても、「変身後」の姿には本人の欲望が含まれている。キレイにな…

アニメにみる"メジャーとマイナーの中間を漂う浮遊感"

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話 - 音極道 Music Hacks "メジャーとマイナーの中間を漂う浮遊感"なー。これは日本人の物語の好みにも通じるような気がする。クスリとする笑いと「かなしさ」の中間を浮遊する物語、っ…

さあ『デストロイ アンド レボリューション』について話す仕事を始めようか。

森恒二の漫画には、イケてない主人公と、彼の憧れとなるイケメンが登場する。物語の大きな流れは、イケてない主人公がイケメンに並び立つための何かを獲得することにある。 同時に、イケメンの側にも、イケてない主人公が共感できる傷を描く。イケてない主人…