月刊NUKI-GAMERS第二回「近親相姦」投稿レビュー仮まとめ

ろろせ さん

タイトル

人妻コスプレ喫茶2(アトリエかぐや

レビュー

抜きゲーとして、主にHシーンの演出の面から、「ヒロインが実または義理の母・姉・妹」であることの意義を考えると、「家族として過ごしてきた主人公との親密さ(親近感、信頼感、愛情など)」と「社会道徳や倫理に反する関係がもたらす背徳感」の二つに大きく分けられるのではないでしょうか。
さらに、「実」と「義理」の違いを考えるなら、前者は実だろうが義理だろうが大して差はありませんが、後者は血縁のある実の母・姉・妹でなければ効果は薄い。個人的には、後者の「背徳感」にはそれほどそそられないので、むしろ義理の関係における「法律的や倫理的には問題ないけど、これまで家族として築いてきた関係が変わってしまうのがこわい」だったヒロインが、いざ想いが通じ合ったとたんに、ストッパーが外れたようにデレデレのエロエロになってしまう展開のほうが好きなのですが、私の好みは置いといて、ヒロインを実の家族に設定するのであれば、いずれは乗り越えるにしても、禁断の関係に対して主人公やヒロインが悩む展開は、本来は欠かしてはいけないのではないかと思うわけです。本来は。

前置きが長くなりましたが、この「人妻コスプレ喫茶2」のメインヒロインである櫻井桜子さんは、主人公のまぎれもない実母にあたります。元々は裕福な家のお嬢様でありながら、主人公の父親と駆け落ちして家を出て、今は息子と二人で亡き夫が残した喫茶店を守り続けているという設定。
実母をヒロインに据えるには、年齢が主人公よりかなり上になってしまうのはもちろんのこと、そもそも男の生理的に、血のつながった母ちゃんに恋愛感情や性的欲求は抱きにくいという問題をクリアする必要があります。そこで、「幼い頃に生き別れてから再会し、母親とは知らずに好きになってしまった」みたいな設定でカバーする場合も多いのですが、この作品では、そうしたエクスキューズは一切無しに、主人公が初めから母親を女として意識してしまうのです。うっかり着替えをのぞいてはドキドキするし、露出の多いコスプレ姿は照れてまともに見られない。
ついには、とうとう想いが抑えきれなくなって、母親を押し倒してしまうわけなんですが、桜子さんは桜子さんで、あっさりと主人公を受け入れます。その後は、一応表向きには秘密にしながらも、お互いに特に悩むこともなく、すっかり恋人状態でイチャイチャしまくる様子が、かぐやお得意の濃厚なHシーンで表現されます。ルート後半は、そんな二人の仲を認めようとしない(当たり前ですけど)桜子の両親をどう説得するかという展開になっていきますが、初めてプレイした当時は、実母設定にも関わらず、あまりの背徳感の無さにちょっとあっけにとられた覚えがあります。

ただ、それでもこの作品というか、桜子さんというヒロインが魅力的なのは、原画のM&M氏によるあどけない表情とナイスバディを兼ね備えたキャラデザインや楠鈴音さんの演技は当然として、異常に若々しい外見や茶目っ気のある性格から来る桜子さんの可愛さと、甘えながら情熱的に迫ってくるHによって、母子関係だからこそ出せる親密さがそのまま恋人同士のラブラブ感に変わっていくバランスを、うまい具合にとっているところだと思われます。それが結果的に、近親相姦の生臭さを見事に脱臭して、主人公と桜子さんの関係にそれほど不自然さを感じさせないんですね。
近親相姦ものに本来は欠かせないはずの背徳感ですが、快楽至上主義の抜きゲーでは、演出次第によっては「でも好きになっちゃったんだからしょうがない」の力技で片付けても成立するという実例を示している作品だと思います。そういう自由度こそがほかの物語メディアやストーリー重視のエロゲにはない抜きゲーの個性ではないか、などと分析っぽいことを述べつつ、結論としては「桜子さんはエロ可愛い」「桜子さんはオレの嫁」ということで終わらせていただきます。

アミーゴ さん

タイトル:朝凪のアクアノーツ
レビュー

恋もも、ましろぼたんに続くFizzの三作目の作品(FD入れると四作目)。
予約特典がヒロインの水着がスク水になる(&日焼け跡が出来る)「スク水ディスク」という事もあり、いかにもありきたりな萌えゲーという風を装っていた本作であるが、そんな印象とは裏腹な濃い近親相姦描写が特徴の作品。

ヒロインの一人慧本友里子は主人公の実の姉弟、それも一卵性双生児の姉であり、さらに二人は両親の兄妹間の近親相姦によって生まれている。
自らの経験からか友里子の弟への思慕に過剰なまでに警戒感を露にした母向日葵は二人を引き離そうとし、それが母と娘の対立へと繋がっていくのだが、はっきりと「お前が言うな」状態である事は否めない。というか、この母親風呂場で息子に「あててんのよ」したあげく手でもって息子の息子を昇天させてしまっている。どういう倫理観の持ち主なのかいまいち理解できない。
さらに白玉かなかルートに於いてはかなかと主人公の娘である朝薫が主人公への性交渉を迫り、アナザーシナリオではそのものずばりかなかと朝薫による親子丼が繰り広げられている。

特筆すべきはこの作品が近親相姦をきちんと「禁忌」として扱っている事だろう。姉との関係を主人公の友人は九十九パーセント不幸になると忠告し、母は姉弟の関係を赦しはせず二人は家を出る事になる。属性として見た場合、近親相姦の魅力は何かと問われればそれは間違いなく背徳感である。その背徳感を表現し近親相姦の魅力を高める物としてこれらの描写は非常に重要である。

規制の関係また重くなりがちなテーマとあって近親相姦を正面から書ききった作品は絶対数そのものが少ないのだがその中でも本作は近親相姦の多彩さと作品の質において白眉の存在であるといえるだろう。