2010-01-01から1年間の記事一覧

大高忍『マギ』第74夜「崇高な何か」が傑作すぎる件:イノセンスと代償行為

今週の『マギ』があまりにも素晴らしかったので布教エントリをしたためんとする。単行本派は回れ右推奨。 さて、アリババが「王」になったりアラジンが覚醒したりマギバトルが始まったりカシムが異形化したりとこのところ急展開だった本作。無駄に上の方にネ…

俺が書こうとしているのはジョナサンとDIO子のラヴストーリーであるらしい。

DIOはジョナサンにとっての「運命」であり「試練」である。DIOは常にジョナサンを試す。ジョナサンは、DIOという「運命」がもたらす「試練」を乗り越えることによって成長してゆく。ある意味では、DIOはジョナサンのために存在している。 逆に、ジョナサンも…

『僕は友達が少ない』にはヒル魔が足りない

タイトルは『ぼくたちには野菜が足りない』パロになってしまった。 相変わらず続きを読まないまま自分のはがない感想を読み返して、はがないに何が足りないかわかった気がした。ヒル魔だ。 物語には、特定の「人格パターン」をテーマとして展開する類型があ…

声に出して読みたいアイマスソング「shiny smile」を再評価してみよう

このところ、supercellや飛蘭曲のカッ飛んだリリックを見るにつけ、「センス」とか「題材」以前の「スキル」としての作詞について検討したいと思っていたのだ。例えば大半がアレなアイマス曲リリックの中で「shiny smile」が光る理由とか。 「shiny smile」…

エロゲーマーたちによるスパ4対戦会生放送に、なぜか実況?を付けてました。

富士見書房|棺姫のチャイカ 装甲悪鬼でのパフォーマンスにも感嘆したけど、現在のなまにっくぁん(ウロブっつぁんに準ずる愛称)は参加したら「なまにく作品」と呼びうるような華があるよな。 でも、チャイカのデザインは、明らかにニトロじゃなくライアー…

水無月・アドルフ・ルックナーと因果悟が可愛い

シュピーゲルシリーズで可愛いのはなんつっても水無月。『救命戦士ナノセイバー』の因果悟をほんのり思い出す。盗聴はできても話しかけることはできない弱さ。「彼女」と自分は生きる世界が違うと諦めてる感じ。そして弱い人なりの生き方を確立してるせいで…

映画『マルドゥック・スクランブル』観てきた。 めぐさんは無い。

過去の『ToHeart2 XRATED』姫百合姉妹シナリオ言及まとめ

ToHeart2 X-RATED:姫百合姉妹 (2006/6/3初出) ネットが繋がらない間エロゲがそれはそれははかどってあちこち手を出して、すでに真っ先に取り掛かったロストチャイルドの印象がぶっ飛んでるくらいなんだけど、その機会にTH2もとうとうプレイした。予想より…

『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』を脱稿しました。

『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』CM79発行予定 - then-d’s theoria blog ver. 三宅章介を担当してます。『+30人×30説』に引き続いての登板ですが、今回はイラストがもらえるらしい! いやー、挿絵付けてもらうのひさしぶりだなー! 今回も、…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない7』雑感

今思えば、ポイントオブノーリターンは衝撃のメルル弁当(5巻)だったな。愛が……重い。ゼロ魔並に恐ろしいラノベになっている俺妹。 この世の中で真に恐怖すべきラノベはゼロ魔しかなかった*1のだが、そこに俺妹も加わることになったようだな……。 男殺しと女…

『とらドラ!』っつうのは恐ろしく単純な話で、アレがなんかややこしく見えるとすれば、それはみのりんがヘンなせいだといっていい。 そういう意味では、とらドラのとらドラたるゆえんは、虎でもドラでもなくみのりんにある。あーみんもとらドラを象徴するキ…

超能力とは「クニ」である。

禁書にいわゆる魔術結社の人はあんまし出てこない、という忘れられがちな事実。出てきてもチョイ役。 魔術を含めた超自然的なパワーはしばしば権力のメタファであるのだが、いかなるレイヤの権力に比喩するからによって物語性は異なってくる。きのこ(伝奇)…

スパ4と百花繚乱で今墨がアツい。 今期アニメ、選ぶとすれば百花繚乱ですネ。ヘイユー、毎度スタッフの苦悩とヤケッパチが横溢するアニメを見て楽しいかい。 あえていえばギモ゛ヂイ゛イ゛。 あと、俺と友人の間では、七咲編の急降下っぷりへのがっかり感か…

ところで現在『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は第三部に突入しております。第一部「桐乃編」(1-2巻)/第二部「黒猫編」(3-5巻)/第三部「京介編」(6巻) 3巻と5巻は微妙に一部-二部、二部-三部の過渡期な感じ。

『AKB49』が面白い:非実在美少女

浦川みのりは非実在美少女である。 実在美少女であるユキ(『ゆびさきミルクティー』)との違い。 準にゃん(『はぴねす!』)にしてもユキにしても、あるいは絆(『プラナス・ガール』)にしても、「変身後」の姿には本人の欲望が含まれている。キレイにな…

アニメにみる"メジャーとマイナーの中間を漂う浮遊感"

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話 - 音極道 Music Hacks "メジャーとマイナーの中間を漂う浮遊感"なー。これは日本人の物語の好みにも通じるような気がする。クスリとする笑いと「かなしさ」の中間を浮遊する物語、っ…

さあ『デストロイ アンド レボリューション』について話す仕事を始めようか。

森恒二の漫画には、イケてない主人公と、彼の憧れとなるイケメンが登場する。物語の大きな流れは、イケてない主人公がイケメンに並び立つための何かを獲得することにある。 同時に、イケメンの側にも、イケてない主人公が共感できる傷を描く。イケてない主人…

理想のリョナゲーの話とかする?〜ゲームにおける体験と記憶〜

アレですよ、そのー、ワッフル買いに行くための外出着になりながら書くんですけど、ゲームってエクスペリエンスじゃないですか。ユーザの体験という切り口が非常に重要なコンテンツなんですけど。 エクスペリエンス・ポイント(EXP)すなわち経験値が蓄積さ…

『BlankBlood』

可能性を感じる。まだまだやれることがある 理不尽な強さを持つ触手に、女スペランカーがリョナられるゲームと、理不尽な強さを持つ美少女を、触手スペランカーが根性でリョナるゲームと、どっちが面白いのであろうか。 BlankBloodは秒殺が多いのが気になる…

『とある魔術の禁書目録』でおれら非モテキモオタが感情移入すべきは半蔵なんだよ!

上条さんの説教は「お前だってリア充になりたかったんだろう! ちょっとくらい長い彼女いない歴で諦めてんじゃねえ!」なのでウザいという話。これが若干クリティカルじゃないのは、そげぶされるキャラが悟ってないリア充志望だから。 じゃあ、オレたちガチ…

『アマガミSS』七咲逢ED「恋はみずいろ」のキャラクターモノローグがおかしい

七咲はこわい。まともじゃない。 俺が覚えてないだけかと思って他のキャラのキャラクターモノローグ聴き直してみたらやっぱこんなじゃなかった。七咲どうした。 ええとまあ、ゆかな上手すぎって話ではあるんですけど。先輩が好きすぎて笑うしかない七咲。一…

世界をサスペンドするメインヒロインが成立させる日常系ライトノベル

『ToHeart』から『ONE』の間で決定的な日常の変容が起こった説とかあったなあ。俺の中で。簡単すぎに言うとダイナミックな日常からスタティックな日常への変化。THだとマルチルートだけがスタティックな日常でそれは例外だったんだけど、例外が常態になった…

アンチ・パワーである上条当麻に寄り添う者

さあ、禁書目録について飲み屋テンションでしゃべるシーズンがやってまいりました!(訳:アニメ二期はじまりました) 上条さんが大きな権力(例えば国家)にケンカを売らないのは、そこに属している人を「悪」とは見做さないからでしょう。ローマ正教20億人…

『ゼロの使い魔』はちっとも「最近のヌルい萌えラノベ」と呼ぶに相応しくない

王族には二種類ある。一番でかい貴族であるものと、唯一の支配者であるものだ。 概ねファンタジー作品における王族とは後者――唯一絶対の支配者だ。しかし、『ゼロの使い魔』は珍しい、貴族に近い王族イメージを採用している。王族と貴族は魔法使いである点で…

「パンストのパンティはビッチ萌えキャラの急先鋒である」この命題は真か偽か?

真:確かにあれは腐れビッチだ。最高だ。 偽:確かにあれは腐れビッチだが、世界観自体が腐れているのでショックも何もない。つまらん。 グレンラガンとかんなぎには縁がある。パンストはナギ様中古騒動に対するアンチテーゼではないか。という話をTwitterで…

『けいおん!』にまつわる、身体性の描き方

アニメ『けいおん!(!)』のヴィジュアルは女子高生の身体を描こうとしている。しかしこれはストーリーテーマと齟齬を起こしている。このギャップが大ヒットの要因として挙げられるが、ぶっちゃけ気持ち悪い。悪く言うと盗撮映像みたい。 これを融合させる…

アニメ『けいおん!(!)』はドラマの作り方を間違った!〜自―自関係と自―他関係〜

Togetter - 「アニオタ保守本流「けいおん!全員女子大進学問題をdisってみた」」 別離云々については話の枕にする以上の意図はない。今回は、同人サークル・蛸壷屋の二次創作同人誌に言及しつつ、アニメ版『けいおん!(!)』でのドラマツルギーの作り方に…

正直、このラノ文庫のプロモーションは相当シクってると思う。

このラノ文庫と、ガガガ・GAなどかつての「新興レーベル」の比較。ガガガなどはレーベルの立ち上げが先行し、初期には既存作家のスライドやリメイクなどで玉数を稼いでいた。ある程度体制が整ってから新人賞をやった。一方このラノ文庫は新人賞が先にあった…

アイマス2騒動で顕になった「アイマスキャラ≠偶像」という事実と、二次元アイドルのふたつのあり方

※関連喋ったもの→『もりやんと松波総一郎のWanna’be Cute!』第19回後半 アイマス2騒動*1は、「キャラクターという神」を「製品という偶像」が侮辱した、と捉えられた事例だと解釈することもできる。しかしそもそも彼女たちは偶像=アイドルなわけで……。ユー…