抜きゲーの話をする上でも葉鍵は重要ですよ、という話

エロゲーブランド新旧御三家ってどこだっけ?

御三家がエルフ・アリス・Leaf御三家とは - はてなキーワード)とすると、旧御三家がエルフ・フェアリーテール・アリスか。 この新御三家はたぶんKeyブレイク前。
旧御三家=アリスエルフエフシー 新御三家葉鍵アゲ という説もあるようだ(獣耳同盟締結!w、亜人連盟も創るぜのスレ - Page 2 - HongFire Anime Network
葉鍵アゲね。Fate出る前ならそれが御三家か。ただ、ポスト葉鍵戦国時代においてAgeが一時であれ覇権を握っていた、という歴史認識には簡単にうなづけないものがある。

歴史観の話。

シナリオゲーは後世への影響がわかりやすいけど抜きゲはなあそうでもないから、抜きゲーの体系的なまとめって難しいんだよね。というかシナリオゲーも無関係ではない
なぜなら、ゼロ年代エロゲの大きな潮流に、一度分裂した萌えとエロの再合流というものがあるからだ。
葉鍵Age御三家説を認めるかどうかは、型月の前にAgeは一度勝った、という認識を持つか否かだ。ぼくはそれはないと思う。
なぜなら、エロゲ一般はともかく、葉鍵と肩を並べるかどうかは大体二次創作が流行るかどうかの話で、そしてAgeの二次創作は月姫二次創作よりはるかに流行っていなかった。ぼくの認識ではそう。
で、君望はともかくマブラヴ同人誌は相当あったぞ、という話になる。しかしそうなるとFateと年代がかぶってしまう。じゃあ型月優先しますよと。結局やってんじゃん。
あと、Ageはあんまパクられてないので、その点で葉鍵と並べるのはどうよというのもある。葉鍵のスゴさとは売り上げ、二次創作、パクられではなかったか。
ところでエロゲー史において抜きゲーを無視するなの話ですが。葉鍵葉鍵言ってますが。現代エロゲにおいて抜きゲーも葉鍵チルドレンが多いわけです。属性萌え。
属性萌えは全部葉鍵チルドレンだよ、って言ってて危うさを感じるがやっぱりそう思う。葉鍵以前において属性によるヒロインの差別化は計られていなかったか、優先的なものではなかった。
例えば同級生におけるヒロインの差別化は明らかにある。しかしそれは普通に魅力的なヒロインを送り出す上でまあバリエーションはつけましょうや、という話に見えると。
葉鍵においては「それ可愛いのか?」をおいといていきなり差別化から入る、という違いがある。これはなにもゲテモノグルメ狙いではなくストーリーテリングの基盤として要請されたもの。
ストーリーテリングの基盤として予め差別化されたヒロイン、てのが、もう意図も効果も全然違うが、属性によって差別化する萌えゲー、というスタイルを生む。
ちょっと戻る。じゃあ『河原崎家の一族』なり『女郎蜘蛛』なりの著名な葉鍵以前の抜きゲーはどうだ、ヒロインは差別化されていませんかと。まず差別化以前に皆美人だよが一つ。それは差別化じゃなく分業だよがもう一つ。
ある世界観を構築する上で様々な役割・個性を持った人物が必要とされる、これはエロゲーに限らず当たり前の話。そこを突破していなければ差別化戦略とはいえませんよと。そういう意味では『痕』は古いわな。
で、葉鍵、とくに鍵のヒロインが「ある世界観を構築する人物たち」ではなく、「差別化された個別のヒロインの集合」という認識を得たのは、その特異なシナリオ技法が影響している。平行世界解釈を生む各シナリオの独立性。
そんなこんなで、葉鍵の影響に属性によるヒロイン差別化戦略が成立する。簡単に言うと属性萌え。そこでヒロインではなく作品を差別化した『はじめてのおるすばん』はやはり悪魔の発想であった。
で、昨今、属性萌えを実装しない抜きゲーはむしろ少数派である。あるいはなんであれそのように消費されてしまうともいえる。こうした状況下で、抜きゲーも含むエロゲ全体の未来像は葉鍵からの延長線上に描かれざるを得ない。
それはつまりシナリオゲー史に非常に接近するものとなる。シナリオゲーを語ってエロゲーを語ったつもりになってしまうのはそれなりの理由がありますよと。
説明するまでもなく、そうしたくなる理由があるからとてシナリオゲー評論はエロゲー全体をカバーしない。抜きたくてプレイしてる人もいるんですよと。
せっかくなので萌えとエロの合流について。そもそもエロゲーは美少女とエロいことができるゲームであって両者が分離する謂れはない。しかしまず、前述のような特異なヒロイン造形手法・属性萌えが起こった。
属性萌えは、高度に独立した個別シナリオと高い親和性がある。ウダウダした長い話がくっついてちゃ抜けないのが道理である。葉鍵とは別路線のF&CはF&Cで、別の理由でエロが薄かった。
じゃあどうする。この先はいくつか道がある。まずファンディスク・おまけディスク。「すでにウザいシナリオが終了してる萌え属性付ヒロイン」でエロいことをするという考え方だ。これは後世のアフターエロシナリオというアイディアと相似する。
他には、シナリオの内容をエロくすればええやん、というのがある。実にまっとうである。『魔法とHのカンケイ。』とかそういう作風。
萌え属性は付けるけどストーリーテリングはしねぇ!というクソ男らしい考え方もあった。ただし、そうするとヒロイン間の差別化が図りにくくなるので、ピン女優(?)モノが中心である。はじるすのことだ。lilithもそう。
最後が、ストーリーテリングをした上でガッツリエロやってみせる!というある意味最も漢らしい選択。『プリンセスうぃっちぃず』とかね。ただやっぱり、スゲーが、なんか分裂気味ではある。
以上ゼロ年代における萌え・エロ合流の概観。
F&Cのエロが薄かった理由。簡単に言えば、ヒロインが可愛ければそれでも売れたし、むしろヒロインのイメージ戦略として好都合っぽかったりするからだ。もちろんこれは可愛くてエロいヒロインに絶対負ける。 .
可愛くてエロいヒロインが浸透するには属性萌えがエロから分離して再合流する時間が必要であったので、その間F&Cは生き延びた。シナリオゲー作ったりしつつ。でもシナリオも薄かった。とはよく聞く。餅屋じゃないのである。
F&Cを巣立ったスタッフで現在活躍している人は、出身がエロ濃い目のライン(水月・Natural)だったり、萌えに媚びたライン(Canvas)だったりするから切ない。カワイイだけじゃダメですよと。 .
で、萌えというのは実はストーリーなんですよ、というのを忘れてはならない。少なくともエロゲー史においては。F&Cのヒロインは、萌えキャラではなかったのだ。
当代一流の美少女絵師でありながらエロに走ったCARNELIAN先生はさすがである。しかし『顔のない月』以降があんまエロエロしくないし、やっぱし芳しくないのであった。それでアニメ化できるというのはどういう理屈なのだろうか。人間力高えという印象なのだが。

プリンセスうぃっちぃずEXCELLENT

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