『ハートキャッチプリキュア!』第1話に見る、周囲の支え・導きによって成長する少女像


本当に濃い第1話だったね……。
「周囲の支え・導きによって成長する少女像」については、過去記事でもすでに触れました。
OP編で論じた内容としては、先輩プリキュア・ムーンライトが主人公を見守り、導くことが映像で暗示されていることです。また、周囲の人物との関わりが映像で積極的に表現されています。
また、必殺技編では、主人公が半人前であることが設定からも裏打ちされており、またシリーズの流れに沿った「弱いプリキュア」というイメージが確立していることを論じました。
以上をふまえ、今回はOP映像には登場しない「家族」に特に着目しようと思います。
まず、アバンタイトルで、いきなり異世界での不思議関係者同士の戦い――キュアムーンライトダークプリキュアの対決が描かれます。ムーンライトが敗れたことにより、その後継者となるつぼみ・えりかが戦いに巻き込まれることになるわけです。
直後、これがつぼみの見た夢であることがわかり、つぼみの両親と祖母がさっそく登場します。ここまでアバンタイトル
第1話のアバンかよ、という話で、この極めて早い登場は、『ハートキャッチ』における「家族」の存在の重要性を示すとともに、いきなり異世界にブッ飛んだ世界観をバランスするものです。
変身ヒロインものにおいて、概ね変身後の姿は「大人」、変身前の姿は「子供」を象徴します。当然、「魔法」にまつわるものも「大人」の世界を象徴することになります。魔法少女のマスコットが導き手であったり、敵勢力にギスギスしたしがらみが見られたりするのはそのためです。つまり、「魔法」に関わらない普通の人々を描写することは、成長の前提となる幼さを表現する上で不可欠なのです。
また、つぼみは相当なおばあちゃんっ子らしいので、初代におけるほのかの祖母のように、少女たちを導く場面もこれから見られることでしょう。というか、次回予告がさっそくそんな感じで。
第1話サブタイトルは「私、変わります!変わってみせます!!」となっていますが、序盤の展開は「転校デビュー」を目指すつぼみが見事失敗する内容です。つぼみのキャラクターをコンプレックスによって表現するとともに、そこからの変化を明確に兆されているといえます。
内気なつぼみに対して積極的なえりか。えりかはつぼみが憧れるタイプの女の子です。えりかがつぼみをイメチェンさせるのが序盤の軸になりそうですね。
そして、Bパートではえりかの姉も登場します。姉がさっそくえりかを諭していますね。家族に諭されるシーンも、シリーズ過去作品と比べるととんでもなく早い。
また、スタイル抜群現役高校生モデルの姉はえりかの憧れとコンプレックスの対象です。コンプレックスと成長はもちろんセットですね。また、えりかより背も高くスタイルもいいつぼみは、後々えりかの憧れになるでしょう。
このように、えりかとつぼみは互いに憧れる関係です。初代〜Splash Starでは主人公二人は対照的、5では「個性バラバラ」(「プリキュア5、スマイル go go!」歌詞より)だったわけですが、互いが互いの憧れというところまで持っていくのは初めてですね。
加えて、周囲にはムーンライト・家族という、二人の目標となり、見守り導く存在が第1話で出揃っているわけです。実にコンセプトが明確です。最大限に評価します。
そもそも変身ヒロインの変身後の姿は「大人のオンナになった姿」を象徴するわけですが、それがムーンライトの姿を直接に模している(中間状態)ことは大きな意味があるのです。
さらに踏み込むなら、繰り返し述べている通りつぼみ・えりかの力関係はつぼみの方が強そうですので、成長物語としての『ハートキャッチ』の主役はえりかになる可能性があります。次回予告で「主役の私が〜」とのたまうえりかですが、案外それが本質かもしれませんね。

まとめ

  • 『ハートキャッチ』では家族重要
  • 先輩プリキュアと家族に見守られて成長していきそう
  • つぼみ・えりかは互いに憧れる関係
  • 全体的に成長が重要テーマっぽい
  • 第1話からコンセプトがマジ明確
  • ブロッサム・マリンがムーンライトを模していることは重要
  • えりかちゃんカワイイ!