マクロスFの最終回映像使用M@D(のみ)を観てのマクロスの系譜の話など 20090719

 ちなみに本編は#15までしか観てない。
 シェリルが戦乙女的なイメージで描かれているのに対して、ランカは女神的なイメージになっている。シェリルが率いる軍勢がランカを開放して、座に据えて、女神の威光を得て悪神を打ち倒す、というような神話的イメージ。
 んでマクロスなるものについてもうちょい考えてみるのだが。
 巨大ロボというのは某か神性を帯びるものだが、マクロスシリーズにはゼントラーディという巨人族が存在する。主役ロボであるバルキリーゼントラーディと同スケールであり、そしてゼントラーディは衆人として描かれるので、バルキリーもまたただでかいだけの人型でしかない。
 巨大な人型を通じて主人公が神性≒権力と接続されるのが巨大ロボの快楽。では、マクロスシリーズにその快楽がないのかというと、マクロス級移民船というバルキリーより巨大な人型が出てくるわけで。
 そしてマクロス級移民船という神は、「人々の心がひとつになる」ことで成立する。それは単純に移民船の内部に人々が住まっていることから明らか。
 人々の心をひとつにするものが歌。マクロスシリーズにおけるアイドルとはその名の通り、信仰される神の偶像。アイドルが集めた人々の信仰心が悪神を打ち倒す権力として機能するのがマクロスの最終回。
 しかし、肝心の神であるマクロス級移民船と主人公はダイレクトに接続されない。だって主人公はバルキリーに乗っているから。そこで、偶像であるアイドルと主人公の個人的な繋がりから、神の権力が信託される。
 つまり、マクロスシリーズにおけるバルキリーおよびゼントラーディ(Fではバジュラも)は、神の軍勢=天使。主人公は選ばれた天使となって悪神に止めをさす役割を信託される。これがマクロス最終回の、主人公から見た神話構造。
 「お前たちが俺の翼だ!」=ランカとシェリルがアルトに信託する神権が、アルトの駆使するPOWERとなる。そこに死者の思いも託されていることがミシェルのライフルに象徴されている。
 とか言ってみたが初代様とFについてしか語ってねえぞこれ。
 マクロスFアクエリオンで共通するのは、神秘に属する存在=デカい物体を3DCGで描くことで2Dで描かれる人間と分離していること。バルキリー・バジュラ・アクエリオン・天翅は全部同じ存在ともいえる。これはアルジュナもそう。
 んで初代様とFに共通する欠点が、主人公に神権が信託される理由が本当にアイドルとの恋愛関係しか見出せないあたりかなあ。マクロスにはエースパイロット論が必要なんじゃまいか。