タルトがプリキュアを「プリキュアはん」と呼ぶ件について

 なんだか違和感がつきまとっていたのだが、過去シリーズでは変身前は本名で呼んでいた。しかし、タルトはラブを決して「ラブはん」とは呼ばない。「ピーチはん」である。
 関西弁なのでそのへん含めてタルト語的に捉えていたのと、確かにタルトはかなりラブたちに対してよそよそしいのでもにょもにょしつつピンとこなかったのだが、SSにタルトを出そうとしてみたらアレレ?だ。
 これはどういう意味を持つのだろうか。というかこれ普通に前代未聞ではなかろうか。プリキュアシリーズでも他の変身ヒロインものでも、戦隊シリーズとか含めても主人公(たち)を本名で呼ばないマスコットというのは記憶にない。
 当たり前だ。マスコットは普通の少女を変身ヒロインにするためにやってくるのであって、すでに変身ヒロインであるものをリクルートしにくるのではない。そのマスコットが少女たちを「プリキュアはん」としか捉えていないということは、彼が少女の少女としての物語に効果的に関与できないことを意味する。『フレッシュプリキュア!』のストーリーがプリキュアとしての使命だのなんだのを主軸としていない以上、タルトがどんどん空気化しているのも当然といえる。
 クリエイターに求められる「センス」というと、奇抜な発想力が連想されがちである。しかし、実のところそれ以上に求められるのはコモンセンス――すなわち、「常識」ではないのか。常識があればタルトはラブたちを「ラブはん」「美希はん」「祈里はん」と呼ぶはずだし、そうしないのであればそこに某かの理由付けが求められるはずだ。だってそうしたほうが面白いじゃないか。常識的に考えて。