『ハートキャッチプリキュア!』OPから読みとれる多くのこと

さて、『ハートキャッチ』のOPについて。映像的な出来がいいのは観ての通りですが、着目すべきはその情報密度の高さでしょう。いくつかポイントがあるのですが、ひとまず冒頭から、キャプチャー画像で振り返ってみましょう。画像、多いです。また、長くなりそうな話題は後に回してあります。



まずはイントロ。プリキュアとマスコット、主要キャラクターの提示。
マスコット2+1匹。+1誰だてめえ。



後ろからつぼみに抱きつき、つぼみの胸に収まるえりか。けっこう体格差があることに注目しましょう。
約5秒のカットに、二人の関係性が凝縮されています。引っ込み思案なつぼみと明るく積極的なえりかは、えりかがつぼみをリードする関係に見えます。しかし、本質的にはえりかがつぼみに頼っているようです。姉と同じように「スタイルがいい」つぼみは、イメチェンしておしゃれになってしまえば、えりかにとっては憧れの相手になりのではないでしょうか。




タイトル表示までの流れ。キュアマリンが先に飛び出して宙にくるくるした後、キュアブロッサムが描いたラインがタイトルに。明確にブロッサムがメインだと言うことを表しています。初代〜SSまでの「ふたりは」シリーズでは、このような表現はありませんでした。二人が対等のコンビであることを重視したためと思われますが、『ハートキャッチ』では二人の関係はもう少し複雑なパワーバランスの元に成り立つこととなりそうです。つまり、これはこれでアリ。EDもそうですが、随所でマリンが引き立て役であることを表現しています。そしてそこが可愛いんだなあ。
ところで、ロッドくるくるはフレッシュのオマージュですかね。

Aメロは学校編。



歩きながらの会話。えりかの方から話しかけているのは、性格の違いでもあるでしょうし、パートナーへの興味はえりかの方が強そうですね。えりかのテンションについていけないつぼみ、というのが会話の基本になるのでしょう。
また、二人が画面の中心ではなく端に位置していることは、必ずしも描写の焦点を主人公に集中せず、周囲の人物を含めて描かれていくことを示していると考えられます。OPの前、アバンタイトルですでにつぼみの家族全員が登場していることも大変重要です。
なにげにつぼみの方が道の端寄りを歩いているのが、性格が出ていて細心ですね。



恐らくキュアムーンライトが力を失った姿でしょう。制服が違うので、高校生と推測されます。先輩・年上プリキュアということですね。


次回予告で登場したメガネイケメンの正体候補。




イケメン+カメラ少女+大勢に追いかけられる二人。このように、二人を取り巻く人物との関わりがこのOPの随所に読み取れます。ぼさっとしてると見逃してしまいますが、表情のめまぐるしい、かつ対照的な変化が実に可愛い。


顔を合わせて微笑む二人。ああクソ可愛い。これも、二人が自分を取り巻く社会・人間関係に対してどう取り組むのか、というテーマを表現するものといえるでしょう。


曲がAメロからBメロへの繋ぎの場面で、二人を非日常に導くココロパフュームが。わかりやすい。

Bメロは不思議関連人物編。


変身。ここで、変身中の光に包まれた衣装シルエットが、ムーンライトの変身が解けかけた状態と同じであることに注目しましょう。これは、仮面ライダーBLACKの変身中に表れる怪人バッタ男状態の引用でしょう。


正義チーム。プリキュアのシルエットがハート型っぽく見えなくもないですね。



剣が画面を切り裂いて場面転換。うーんカッコいい。悪サイド、砂漠の使徒たち。



さらに切り裂いて場面転換。謎の人物たち。力を失ったはずのムーンライトがなぜ存在するのか? なぜサバーク博士とセットなのか? 非常にスムーズな引き込みです。ふつうに気になります。


キュア高山みなみことダークプリキュア。砂漠の使徒→ムーンライト&サバーク→ダークプリキュアという順番が非常に気になります。色々想像できますね。
ここからの映像は圧巻のひとこと。




コールの絶対!にシンクロしつつ、右のオッドアイを露わにするダークプリキュア。右目から放たれるまばゆい光で画面がホワイトアウト、その中からマントに身を包んだプリキュアが飛び込んできます。闇を切り裂いて現れるマント姿、カッコよすぎ! マントありきの衣装デザインである気すらします。途中の変顔も可愛い!
それにしても意味深。

サビはバトル編です。超重要。



注目! 先行したブロッサムがしっかりブレーキをかけているのに対して、マリンはそのまま敵の群れの中に突っ込んでいきます。
また、空の巨大な月にも注目。これは闇の中の光、というプリキュアのイメージであると同時に、ムーンライトが二人の戦いを見守っていることを象徴していると考えられます。
今回はいわゆる戦闘員がいるわけですが、これは言うまでもなく特撮ヒーローもの(恐らく仮面ライダー)からの引用です。プリキュア5からの流れですね。





ブロッサムの戦いぶり。スナッキーをなぎ払いながら前進。押し包もうとする群れを吹き飛ばして空に逃れ、空中でマントを発動(空にはサーファースナッキー……エウレカセブンっすか)。最後に光線技で一蹴。勇敢かつ華麗な戦いぶりです。マントほんとカッコいいな。それに対して……




猪武者ことマリンさん。飛び込みざまに蹴りを一発。その後は次々に繰り出される攻撃をギリギリでかわしながら地味にパンチで応戦。この表情に注目。


(プッツン)


ヤケクソの大技でスナッキーをまとめて吹き飛ばすマリン。
この流れを見ると、マリンは単騎で敵軍に突撃したあげく、ブチ切れて暴れるという考えなしっぷりを発揮しているわけです。マリンちゃんカワイイ!



大型敵登場。敵を睨み据えるブロッサムに対して引き気味のマリン。ブロッサムの方が根性が据わっていそうです。


応戦。よく見ると宙にハートを描いています。細かい。


必殺技発動。本編ではまだ出てきていませんね。二人で「f(フォルテ)」を一つずつ出していることに注目しましょう。


このへんはひたすら凄えということで……。ビームが振りかかる中を疾走、旋回しながら舞い上がり、流星のごとく突撃。けれん味溢れる作画は『天元突破グレンラガン』などを彷彿とさせます。ほとんどラガンインパクト。
静止ポーズがまたハート型になっているのが面白い。


背中合わせに着地して、決めポーズ&爆発。カァッケェェェェェェ! どう見ても仮面ライダーです。また、歌とのシンクロもすばらしい。ハァァァァトキャッチ!


最後に決めポーズ。地球背景はヒーローっぽいです。
マリンちゃんカワイイ!

まとめ

いかがでしょう。これだけ「意味」の濃いOP映像はプリキュアシリーズに限らずともなかなか見られないと思います。大きなポイントをまとめると、

  • Aメロでのつぼみ・えりかの関係性表現
  • Bメロでの謎提示のうまさ
  • サビでの作品性の象徴表現

この辺りが注目点でしょうか。ま、比較的わかりやすいですね。
さて、次回はEDについて検討します。先に書いておきますと、EDは非ッ常ぉ〜〜〜〜にわかりにくいです。要素の数は多くないですが、長峰監督のオタッキーなコダワリが全開になっており、シリーズのコアなファンでないと意味が通じないこと請け合いです。しかし本当に凄いのはEDの方なので、頑張って話についてきてほしい。

おまけ コールの拾いっぷりがはんぱねえ



ハイ! ハイ!



Fly! High!



ハート! キャッチ!



ハートキャッチプリキュア!

おまけその2 歌詞にマリンちゃんいねえんだけど

「花」はやたらと出てくるし「つぼみ」すらあるのに、海とかはない。2番にあるんでしょうか。ないような気がするなあ。そしてなくていいんだって気も。

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