カオス;ヘッド

カオスヘッド観終わったよ! いやー面白かった! 原作未プレイなのでどこまで原作の手柄かわからんが、これはちゃんと褒めたいぞ。
英雄譚として非常によくできている。物語の最初期において、妄想というファクターが即アイデンティティクライシスに結びついており、後には出生の秘密に繋がる。痕っぽいともいえるが、これをラストバトルで自己実現に繋げる手際はむしろ上でしょ。
しかも自己実現のプロセスへのヒロインの関与させ方がうまい。エロス=梨深・タナトス=星来のダブルピンクとか、まあそこはちょっと雑なんだけど、でも梨深を救おうという運動が全くシームレスに自己実現に繋がるのは見事としか言いようがないね。
またタッキーの自己実現運動において「日常」がキーとなるあたりはいかにもギャルゲーチック。であるゆえにアニメでは無理の出るとこもあったが、代わりに6人のヒロインが織り成す重層的な「日常」を表現しえているのはアニメならではかもね。
星来たんの出番は原作では少ないようだ。アニメスタッフさすがやなー。星来たんがいなかったら自室パート相当しんどかっただろう。作画がちょっとアレなのはともかく、アニメとしての造りはかなり堅牢。エロゲアニメでは抜群の出来栄えというべき。いや、エロゲじゃないけど原作。作画も全然悪くはないけど。でもコンテがかなりよくできてるから、作画に不満が出るというのはあるなー。
美少女ゲームの物語というのは、ヒロインが話の中心になるために英雄譚にはなりにくいんだけど、カオヘの場合ヒロインが苦しみ(ヒロインのトラウマの侵食)と癒し(主人公のトラウマの軽減)を両立しているのが見事の一語。
これは重大なネタバレだけど、美少女ゲームで英雄譚、っつったとき必然的に発生する主人公とヒロインズ総トラウマ状態を主人公に回収するために元凶たるアナザー主人公を登場させる、てのはロストチャイルドと同様の書き筋です。俺が好きなわけだ。
あと、主人公がヒロインを通して神秘と試練に触れそれを克服して英雄となる、つー理路が個別ルートの集合→ハーレムルートという展開と見事に合致してて美しい。原作のルート構成知らないが。デュエルセイヴァージャスティスではやってたね。
というのはつまり七海とセックスしてもいいんだ!に至る理路であるわけですが。七海かわいいよ!セックスだよ!
美少女ゲームにおけるヒロイン制度をハックしていたり、そもそもオタク・ネットネタがエロゲではよくでもアニメでは痛すぎるのでアニメ化には相当無理がある。何とか成立してるのはうまいこと英雄譚として筋を通せたからだな。

たぶん原作も面白いけど、それ以上にアニメスタッフの健闘が光る作品。

カオスヘッド 1 (スペシャル・パック[初回生産限定] ) [DVD]

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